結論:直管のLED化は「器具ごと交換(LEDベースライト)」が第一候補で、日本照明工業会の推奨。器具を残すなら、電気工事士が安定器を取り外してソケットに直接給電する「バイパス工事」+工事専用LED。費用は器具交換が本体8,000〜20,000円+工事5,000〜15,000円/台、バイパス工事がLED2,000〜5,000円/本+工事3,000〜8,000円/台が目安。「工事不要」LEDはグロースタータ式の新しい器具に限った選択肢で、ラピッド式・インバーター式には使わない。
直管の3つの替え方
| 方法 | 何をするか | 資格 | 向く場合 |
|---|---|---|---|
| ① 器具ごと交換(LEDベースライト) | 蛍光灯器具を外し、LED一体型の器具を付ける | 電気工事士 | 器具が10年超/台数が多い/安全を最優先 |
| ② バイパス工事+工事専用LED | 安定器を取り外し(または切り離し)、ソケットに直接AC100Vを配線。工事専用の直管LEDを付ける | 電気工事士 | 器具の意匠を残したい/器具がまだ新しい/天井に穴を増やしたくない |
| ③ 「工事不要」LED | 点灯管を外してLEDに差し替える | 不要 | グロースタータ式で器具が新しい場合の、器具交換までのつなぎ |
③の条件とリスクは 「工事不要」LEDの条件と危険 にまとめています。器具の点灯方式が分からなければ先に 点灯方式の見分け方 を。
① 器具ごと交換(LEDベースライト)
器具の形
| 蛍光灯器具の形 | LEDベースライトの対応する形 |
|---|---|
| 逆富士形(天井に台形の本体、ランプがむき出し) | 逆富士形 LEDベースライト |
| トラフ形(細い箱にランプ) | トラフ形 |
| 笠付き(反射板つき) | 笠付き形・反射笠形 |
| 埋込形(天井に埋まり、ルーバーやカバー) | 埋込形(下面開放・ルーバー・乳白カバー) |
| キッチン手元灯(棚下) | 棚下灯・キッチンライト(スイッチ・コンセントつきも) |
| 流し元灯・洗面所灯 | 小型の直付けLEDベースライト |
明るさは「40形2灯相当」「Hf32形高出力2灯相当」のように蛍光灯換算で表示されています。同じ表記を選べば体感は同等かやや明るくなります。
費用の目安
- 本体:家庭用の20形クラス 5,000〜10,000円、40形1〜2灯クラス 8,000〜20,000円
- 工事:1台 5,000〜15,000円。既存器具の撤去・処分を含むか確認。台数が増えるほど1台あたりは下がる(事業所で10台以上なら1台3,000〜8,000円の例も)
- 器具の位置をずらす・配線を延ばす場合は追加
利点
安定器が無くなるので点灯方式の相性問題が消え、消費電力は蛍光灯器具の半分前後、器具の劣化リスクもリセットされます。器具メーカーの保証が付きます。設計寿命は約40,000時間で、寿命時は器具ごと交換します。
② バイパス工事+工事専用LED
工事の中身(日本照明工業会 ガイド301)
日本照明工業会は、既設蛍光灯器具のLED化改造工事はガイド301(2024年版)を遵守することが望ましいとしています。主な要求は次の通りです。
- ソケット・端子台・配線などの電気部品は仕様と劣化状態を確認し、必要に応じて交換する。変色や亀裂など明らかな劣化があれば交換しなければならない
- 将来の保守作業で蛍光灯器具と誤認されないよう、安定器を取り外す
- LED光源は使用者が容易に脱着できないよう対策する(工具が無ければ交換できない構造も含む)
- 改造後の器具に表示を行う:適合するLED光源の形式と製造社名、蛍光ランプの取付けが不可である旨、LED光源の定格電圧・定格消費電力・工事業者名・工事年月、蛍光灯器具の銘板情報が無効である旨、給電側ソケットの識別
つまり「安定器の線を切ってLEDを付ける」だけでは不十分で、劣化部品の交換と表示までが工事です。工事後は元の蛍光灯は使えません。
LEDランプの選び方
- JLMA 301 準拠:G13口金の直管LEDは JLMA 301(AC直結G13口金直管LED光源の安全規格)に準拠している必要があります。製造販売事業者に確認します
- 給電方式:片側給電(片端のピン2本から給電)か両側給電(両端から給電)か。器具の配線と合わせる必要があるので、工事店に確認。両側給電はランプの向きを気にしなくてよい
- 形と長さ:20形 580mm、40形 1,198mm、110形 2,367mm。口金 G13(110形は R17d)
- 明るさ:40形で 2,000〜2,500lm が一般的。蛍光灯(FL40SS 約3,500lm)より数値は小さいが、下向き配光のため作業面の明るさは同等前後
- 光色:昼白色 5,000K が無難。事務所は昼白色、飲食店や住宅は電球色・温白色も
費用の目安
LED 2,000〜5,000円/本+工事 1台 3,000〜8,000円。ソケットの交換が必要なら部品代と手間が加わります。器具本体を買わないぶん①より安いことが多いものの、器具の劣化はそのままなので、器具が10年を超えているなら①を勧めます。
③ 「工事不要」LED
グロースタータ式(FL)の器具で、器具が10年未満で、器具交換までのつなぎ、という条件なら候補になります。点灯管を必ず外すこと、安定器が通電し続けること、器具メーカーの保証が外れることを承知のうえで。ラピッドスタート式(FLR)・インバーター式(FHF)には原則使いません。報告されている事故と手順は こちら。
電気工事店への頼み方
次を伝えると見積もりが早く正確になります。
- 器具の数と場所(部屋ごと)
- ランプの型番(FL40SS・EX-N など)と、器具の形(逆富士・埋込など)、器具の製造年(銘板)
- 希望:器具ごと交換か、バイパス工事か。分からなければ「日本照明工業会の推奨に沿って提案してほしい」でよい
- バイパス工事なら「ガイド301に沿った工事(安定器の取り外し・ソケット点検・表示)」をお願いしたい旨
- 既存器具と蛍光灯の処分を含めるか
2社以上に見積もりを取り、工事内容が同じ条件で比べます。電気工事業の登録(都道府県)があり、工事後に表示ラベルを付けてくれる業者が安心です。
事業所・マンション共用部でまとめて替える
- 棚卸し:フロア・部屋ごとに、器具の形、ランプの型番と本数、製造年を表にする。型番解読ツール で型番を読み解けます
- 方針:器具が10年超のフロアは器具交換、新しい器具のフロアはバイパス工事、のように器具の年式で分ける
- 試算:LED化の費用と電気代の計算 で、電気代の削減と回収年数を出す。FLR40 2灯の器具(約86W)をLEDベースライト(約40W)に替えると、1日10時間・年250日で1台あたり年3,500円前後の節約(31円/kWh)
- 補助金:国や自治体の省エネ設備更新の補助金の対象になる場合があります。公募時期と要件(施工前の申請が必要なことが多い)を工事前に確認
- 工程:営業時間外の工事、仮設照明、既存器具の処分(水銀を含む蛍光灯は産業廃棄物として適正処理)
よくある質問
Q. 蛍光灯が切れたので、とりあえず蛍光灯を買って、LEDは後で考えてもいい? A. 構いません。直管の三波長形は2028年1月まで製造され、在庫販売・使用は禁止されません。ただし器具が10年を超えているなら、ランプを買うより器具交換を先に検討してください。器具のほうが先に寿命を迎えます。
Q. 自分で安定器を外す工事をしてもいい? A. 電気工事士の資格が必要です。無資格の工事は電気工事士法に違反し、火災時に保険が下りないおそれもあります。
Q. LEDベースライトは何年もつ? A. 設計寿命は約40,000時間(1日10時間で約10年)。LEDの光束が初期の70%に下がる時点を寿命としていて、突然切れるのではなく徐々に暗くなります。多くは器具一体型で、寿命時は器具ごと交換です。
出典
- 日本照明工業会「蛍光灯器具をLED化する際はまるごと照明器具交換を推奨します」(ガイド301の要点、JLMA 301) https://www.jlma.or.jp/led-navi/contents/cont42_g13LED.htm
- 経済産業省 照明器具の省エネ基準資料(直管の寸法) https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/shomei_kigu/pdf/g81209e06j.pdf
- 各社LEDベースライト・直管LEDの製品仕様、電気工事店の公開価格(2026年10月18日確認)